学校&授業動画の配信では「著作権」や「個人情報」などに注意すべし

ルール 学校の動画
学校の動画を作って配信する時、教材や音楽の著作権にはどのように気をつけたらいいんだろう?他にも動画配信で注意すべきポイントがあれば教えて欲しい。

こういった疑問にお答えします。

✔︎ 本記事の内容
  • 学校が動画配信する時は「著作権」に注意がいる
  • 動画配信時に学校が知っておくべき著作権情報まとめ
  • 著作権の他に動画配信時に注意すべきこと2点
✔︎ 本記事の信頼性
現在私は幼稚園職員の動画担当として働いています。
2020年には新型コロナウイルス対応で授業動画や学校紹介動画などを100本以上自力で制作・配信した経験をもとにこの記事を書きました。

今回は、学校が動画配信をする時には必ず知っておくべき著作権情報や、保護者や学生の信頼を裏切らないための対策についてまとめました。

これから動画配信にチャレンジする予定の人は、ぜひ本記事の内容を参考にしてくださいね。

本記事には法律に関する記述が一部含まれます。信頼性の高い参考サイトを元に情報をまとめていますが、著者は法律の専門家ではありません。何か不安に思うことがあれば、各自で専門家への相談をお願いいたします。
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学校が動画配信する時は「著作権」に注意すべき

法律

学校が守るべき著作権法とは

学校の動画を配信する時は、2018年の著作権法改正で新たにつくられた「授業目的公衆送信補償金制度」のことをおさえておきましょう。

授業目的公衆送信補償金制度は、もともと2021年4月に施行される予定だった制度です。

しかし、新型コロナウイルスの影響でオンライン授業の需要が高まったことで、急遽2020年4月28日にスタートしました。

この制度が制定されたことで、著作物の取り扱いは以下のように変わっています。

制度開始前 制度開始後
リアルタイムの
対面授業
『著作権者の無許諾・無償』
で著作物の利用OK

『著作権者の無許諾・無償』
で著作物の利用OK
オンライン授業 『著作権者の要許諾・無償』
で著作物の利用OK
『著作権者の無許諾・有償』
で著作物の利用OK
※2020年度のみ『無許諾・無償』
スクロールできます
あさくら
あさくら
もともとはオンライン授業で著作物を使う時は著作権者の許可をとる必要がありましたが、手続きに時間がかかり利用を諦めるケースも多かったため変更されたようです。

2020年4月28日以降は、オンライン授業での著作物の利用は『著作権者の無許諾・有償』可能となりましたが、新型コロナウイルス対応のため、2020年度は著作物を『著作権者の無許諾・無償』で利用OKとなっています。

ただし、一部の塾などの教育施設や、著作権者の利益を不当に害する場合、動画の内容が「授業」ではない場合は対象外となるなど、制度には制限も多いです。

制度の利用前には必ず以下のサイトに目を通して、配信する動画の内容が制度の対象となるか確認してください。

参考サイト

著作権法のくわしい内容は以下のサイトにて解説されています。

動画配信を行う学校関係者の人は、配信前に必ず一度目を通すようにしてください。

サイトの解説を読んでもわからない点がある場合は、必ず学校内部や弁護士に確認をとった上で作業を進めましょう。担当者個人が思い込みで対処するとトラブルの元になるため、気をつけてください。

申請

制度を利用する場合は、「一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会」に事前に教育機関名の届出が必要です。

※事前に届出ができない場合は、利用開始後すぐに行ってもOKです。

まずは、校内で学校法人がすでに届出を行なっているかを確認しましょう。

まだ届出がされていない場合は、以下のサイトに記載の手順に沿って対応してください。

>> 教育機関設置者による教育機関名の届け出について

著作物を使った動画をYouTubeなどにアップする時は公開範囲に要注意

著作物を使った授業動画を配信する時に、YouTubeなどのサイトを利用していいのか気になりますよね。

結論を言うと、著作物を使っている動画を誰でも見れるサイトにアップするのはNGで、授業を受ける生徒に限定して動画を配信できる状況であればOKのようです。

例えばYouTubeでは、動画をアップロードする時に動画の公開範囲を以下から選択することができます。

  • 公開:誰でも動画を視聴できる
  • 限定公開:URLを知っている人だけが動画を視聴できる
  • 非公開:チャンネルの管理者だけが動画を視聴できる

動画の公開範囲を「限定公開」や「非公開」にすれば、YouTubeにも動画をアップして問題ないようですので、YouTubeを利用する時は設定を忘れないように気をつけてください。

>> 参照:平成30年著作権法改正による「授業目的公衆送信補償金制度」に関するQ&A(文化庁)

授業動画で音楽を使用するときの著作権の扱い

音楽を使用する授業(歌を歌う、音楽にあわせて踊るなど)もまた、「改正著作権法第35条運用指針」に沿った範囲であれば「授業目的公衆送信補償金制度」の対象となります。

ただし、音楽の使い方によっては著作権者に許諾をとるなど別途の対応が必要となるケースもあるようです。

こちらのサイトにて、音楽の使い方のQ&Aがいくつか出ていますので、授業で音楽を使用する予定の人はチェックするようにしてください。

>> 参照:2020年度補償金制度利用に関するFAQ(SARTRAS)

著作権以外で動画配信時に注意すべきこと2点

視聴する少年たち

生徒や保護者の個人情報の流出

生徒や保護者の情報が動画の中に映る場合は、個人情報の流出にも注意してください。

※個人情報とは、顔や住所、氏名、学校名などの特定の個人を識別できる情報のこと。

生徒や保護者が映っている写真・動画をアップする際は、原則として本人の同意が必要です。

同意を取らずに動画を勝手にアップした場合、その人の肖像権を侵害することにも繋がります。

学校への信頼を失わないためにも、動画を公開する際は情報の取り扱いに十分注意してください。

生徒たちのネット環境

オンライン授業など、学校が生徒に向けて動画配信をする時は、生徒側の自宅のネット環境にも注意を払いましょう。

仮にネット環境を持たない生徒が多数の場合、学校が動画配信してもあまり意味がありません。

それどころか、環境がある生徒と無い生徒の情報格差にもつながってしまいます。

あさくら
あさくら
自宅でネット自体は使えても、通信容量的に頻繁な動画視聴には耐えられない生徒もいるかもしれませんよね。

もし自宅で動画視聴がしづらい生徒もいる中で動画配信を行うのであれば、

  • 動画ではなくテキスト主体で授業や発信を行う
  • 学校から動画を視聴できる機器を貸し出す

などの対策を検討することが必要になってくるでしょう。

まとめ

笑顔の法律家

本記事では、学校が動画配信を行う時に注意すべきことをまとめました。

  • 学校が動画配信する時は「著作権」に注意がいる
  • 動画配信時は著作権法の内容に沿って配信を行う
  • 不安なことは専門家に相談する
  • 著作権法を守っていればYouTubeでの動画配信もOK
  • 著作権以外に、生徒と保護者の個人情報やネット環境にも要注意

2020年の新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに、オンライン授業を含め、学校の動画配信への需要は高まる一方です。

実際に動画配信に取り組む前に、注意すべき法律や環境のことを知っておくことで余計なトラブルを避けることができます。

これから動画配信にチャレンジする予定の人は、不安な点は専門家にも相談しながらぜひ取り組んでみてくださいね。

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